
イシューからはじめよ
イシューとは、答えを出す必要性の高い課題の事。どれほど時間をかけても不要な課題に時間をかけていては生産性は上がらない。本書は、生産性を高めるイシューの発見からアウトプットまでのプロセスを解説。
- 2016/10/24
- 2016/10/24
答えを出すべき問題を特定し、どんな分析を行うべきなのかというアプローチで課題解決をする方法を解説した本。
日頃から「本気でやりきる」という覚悟を持って考えた時に、本質的な問題や多くの気づきが生まれると思っていましたが、それが体系的に解説されている本です。
著者は、マッキンゼーでの4年半の勤務のあと脳神経科学の学位を取得し、2012年からはヤフー株式会社にてチーフストラテジーオフィサーとして事業戦略などの推進を行っている安宅和人氏。
様々なビジネスの現場、科学者としての顔も持っている著者なので、書かれている内容にも一層の納得感があります。
▼知りたいところから読む
こんな人におすすめ
- 何が問題なのかはっきりせず、モヤモヤしている人
- 事業戦略などの重要だけど漠然とした課題に取り組まなくてはいけない人
本の目次
序章:この本の考え方 – 脱「犬の道」
第1章:イシュードリブン – 「解く」前に「見極める」
第2章:仮説ドリブン① – イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
第3章:仮説ドリブン② – ストーリーを絵コンテにする
第4章:アウトプットドリブン – 実際の分析を進める
第5章:メッセージドリブン – 「伝えるもの」をまとめる
レビュー
序章では、プロフェッショナルとして圧倒的に生産性の高い人になるための心構えを、第1章~第3章で具体的にイシューを特定して分析の準備を進める方法が解説されています。
もっとも重要なイシュー(答えを出す必要性の高い問題)を特定するための解説が書かれた第1章だけを読んでも、経営者やマネージャは新しい発見があるはず。
本書では、大量の仕事をこなして仕事のバリューを上げようとしても無駄であり
アウトプットベースで仕事のバリューを高めなくてはいけないと説いています。
仕事の価値は「働く時間」ではなく「アウトプットの価値」。そこがプロフェッショナルとビジネスパーソンの違いであると説明しています。
また、仕事の完成度取り組む回数を増やして、何度も検証プロセスを繰り返す方がいいそうです。
確かに一度で完成度を高めようと時間をかけてもかけた時間のわりに、それほど完成度が高まるようなこともないので、回転数を上げて完成度を高めるというアプローチには賛成です。
また、著者は脳神経科学の学位も持っているので科学の例え話も出てきますが、この本を読む多くの人はビジネスでの参考にするために読んでいるはずですので、科学の例えはやや伝えたいことを分かりにくくしているようにも思います。
科学での例えは、「分からないな」と思ったら読み飛ばしてしまってもいいでしょう。
2010年初版と発行自体はやや古めですが、生産性を高める思考方法としては一読の価値があります。とはいえ、読んだだけで何かが大きく変わるというものでもない事と、一読して腹落ちしない人もいるはずです。
著者もあとがきで書いていますが、この思考法を使って経験を積み、自身のフレームワークを作り上げていくことが重要であることは言うまでもありません。
読了メモ
- イシューとは「答えが出るとその先の方向性に大きく影響する「本質的な」選択肢である。
- イシューをきちんと言葉にする。言葉にすることで、概念がきちんと定義され、イシューかどうかも見極められる。
- 情報は集めすぎない、知りすぎないこと。集めすぎ、知りすぎると、知恵や自分なりの視点が無くなってしまう。
- アウトプットは、1ページごと1チャートごとに単一のメッセージがあるかどうか。メッセージが曖昧なチャートは不要。